ガイド · 数字が合わないとき

個人のお金と事業のお金を分ける:利益が見えなくなる落とし穴

店のレジのお金で家の食料品を買い、仕入先には個人のカードで払う。何でもないことに思えますが、やがて事業がいくら儲けているのか誰にもわからなくなります。このガイドでは、会計上は事業が別人格である理由、事業主の元入れと引き出しの記帳方法、そしてお金を混ぜないための五つの習慣を説明します。

花屋の店内で、店主がピンクのバラの花束をお客様に手渡している
写真:Pavel Danilyuk、Pexels

恵子さんの靴箱

小林恵子さんは花屋を営んでいます。売上は金属の手提げ金庫に入れ、そこから一週間分の食料品や日曜日のガソリン代、息子さんの学費が出ていくこともあります。金庫のお金でバラの仕入先に払えないときは、個人のカードで払います。あらゆる領収書は、最後は靴箱に入ります。

十二月のある晩、姉に「お店はいくら儲かっているの」と聞かれました。恵子さんは暗算します。月に2,000くらい。姉はさらに尋ねます。食料品は含めるの、含めないの。カードで払ったバラは。恵子さんは答えられません。けれども、値段を決めるにも、融資を申し込むにも、日曜日に店を開ける価値があるか決めるにも、大事なのはこの単純な質問なのです。

事業は別の人格

会計は、企業実体の公準という考え方から出発します。個人事業のように法律上は分かれていなくても、事業は事業主とは別の存在として扱います。事業が持っているものと負っているものは事業の帳簿に記録し、事業主個人のものは記録しません。一方から他方へ移るお金は、その性質どおりに、元入れか引き出しとして記録します。

混ぜることの代償

  • 本当の利益がわからない:個人の支出をレジから払えば利益は小さく見え、事業の経費を個人のカードで払えば大きく見えます。
  • ブーケ一つの本当の原価がわからず、値段を正しくつけられません。
  • 個人の支出を事業の経費として記帳すると、税務上の問題になることがあります。
  • 銀行には健全な事業ではなく、誰にも説明できないお金の動きとしか見えません。
  • いつか共同経営者が加わったり事業を売ったりするとき、その価値を誰も証明できません。

元入れと引き出しの記帳

会計上、事業主が事業に入れたお金は純資産への元入れ、持ち出したお金は事業主貸(引き出し)です。どちらも事業の収益や費用ではありません。一方、事業の経費を個人のお金で払った場合は、経費として記録し、相手科目を元入れとします。恵子さんの四つの場面は次のとおりです。

場面借方貸方金額
貯金から1,000を事業に入れる現金元入金1,000
現金を家に持ち帰る事業主貸現金300
バラの仕入代を個人のカードで払う仕入(花)元入金250
食料品をレジのお金で払う事業主貸現金80

事業主貸は純資産を減らす科目で、期末に純資産と相殺して締めます。食料品が経費として現れることはありません。経費ではないからです。

ご自身への給料

いちばん健全な引き出しは、計画した引き出しです。事業が無理なく出せる月額を決め、決まった日に引き出し、毎回同じ方法で記帳します。個人事業なら引き出しですが、会社として役員報酬などを受け取る場合は経費となり、国ごとに異なる税金や社会保険の義務が伴います。ご自身にどちらが当てはまるかは、税理士にご確認ください。

お金を混ぜないための五つの習慣

  1. 事業専用の銀行口座を開き、事業専用のカードを使う。
  2. 売上はすべて事業の口座かレジで受け取り、個人の口座には入れない。
  3. 閉店のたびにレジのお金を数え、差があれば記録する。
  4. 出ていくお金には、手書きの領収書でもよいので必ず証憑を残す。
  5. うっかり混ぜてしまったら、年末を待たずにすぐ元入れか引き出しとして記帳する。

恵子さんが気づいたこと

恵子さんは花屋の口座を開き、自分への引き出しを月1,200と決めました。三か月後、帳簿を分けてつけた損益計算書は、思いがけないことを示しました。店の利益は月2,000ではなく1,450だったのです。ウェディングブーケの利幅は小さく、企業向けのアレンジメントの利幅は大きい。前者の値段を上げ、後者の注文を増やす工夫をすると、春には利益が本当に2,000を超えました。靴箱には、いまでは靴だけが入っています。

Aconta Online の役割

Aconta Online では、元入金や事業主貸など必要な純資産の科目を作り、元入れと引き出しを一つずつ仕訳で記録できます。損益計算書には事業の収益と費用だけが表示され、貸借対照表には事業が持っているもの、負っているもの、そしてあなたに帰属するものが表示されます。どの仕訳も日付とともに記録され、後から書き換えられることはありません。最初の一社は無料で、カードの登録も不要です。

よくある質問

個人と事業のお金を分けることはなぜ大切ですか。

分けないと本当の利益がわからず、値段を正しくつけられず、個人の支出を経費として記帳すれば税務上の問題になりかねないからです。銀行や共同経営者にも、確かめられる数字が必要です。

事業主が事業から持ち出したお金はどう記帳しますか。

引き出しとして、借方に純資産の科目である事業主貸、貸方に現金または預金を記録します。経費ではないので、事業の利益は減りません。

事業の経費を個人のカードで払った場合は。

経費をその経費の科目に記録し、相手科目を事業主からの元入れとします。領収書はほかの経費と同じように保存してください。

事業主の引き出しは事業の経費ですか。

個人事業では経費ではなく、純資産の分配です。会社の場合、働いている役員や社員への報酬は経費になることがあり、それに伴う義務があります。税理士にご確認ください。