ガイド · 数字が合わないとき

会計の誤り:試算表の貸借が合わない原因の見つけ方

わずか数百円の差額のために、ひと晩かかることもあります。このガイドでは、会計の専門家が数分で差額を見つけるための手がかり、試算表では見つからない誤り、そして何も消さずに仕訳を訂正する方法を紹介します。

木のテーブルの上、印刷された貸借対照表に虫眼鏡をかざす手
写真:RDNE Stock project、Pexels

270の差額

山本大輔さんは金物店を営んで十一年。帳簿は自分でつけていて、使い慣れた表計算ソフトの中身は頭に入っています。月末の最終日、借方の列を合計すると48,620。貸方の列は48,350。270足りませんが、どこが違うのかわかりません。

一週目の仕訳を見直し、二週目も見直します。夜十一時、二百件の取引を確かめても、差額は靴の中の小石のようにそのまま残っています。そのとき、何年も前に簿記の先生に教わったことを思い出しました。探す前に、まず差額で計算してみなさい。

試算表でわかること、わからないこと

試算表は、すべての借方残高の合計と、すべての貸方残高の合計を比べます。一致しなければ、必ずどこかに誤りがあります。けれども一致したからといって、誤りがないとは言い切れません。

試算表で見つかる誤り試算表では見つからない誤り
借方と貸方の金額が一致しない仕訳記帳されなかった仕訳
総勘定元帳に片側しか転記されなかった金額二重に記帳された仕訳
計算の誤り正しい側だが誤った科目に入った金額
借方と貸方で違う数字が書かれた金額両側に同じ誤った金額が入った仕訳

差額を見つける五つの手がかり

  1. もう一度合計する。 当たり前に聞こえますが、誤りは思っている以上に合計そのものにあります。
  2. 差額と同じ金額を探す。 差額と同じ金額は、多くの場合、一行の抜けです。借方だけあって貸方がない仕訳です。
  3. 2で割る。 ある金額を反対側に記入すると、差額はその金額の2倍になります。270なら135を探します。
  4. 9で割る。 差額が9で割り切れるなら、隣り合う数字の入れ違い(4,350を4,530と書くと差は180)か、桁のずれ(300を30と書くと差は270)を疑います。
  5. 前月と比べる。 いつもより大きく残高が動いた科目から調べるのが近道です。

大輔さんの誤り

大輔さんは270を2で割ります。135。どこにもありません。270を9で割ると、ちょうど30。そこで、300であるべき30、あるいは30であるべき300を探します。二分で見つかりました。300のねじの仕入が、借方の棚卸資産には300、貸方の現金には30と入力されていたのです。キーボードに残ったゼロ一つでした。

その夜、大輔さんは二つのことを学びました。一つは、目では何時間もかかることを、計算なら数分で見つけられること。もう一つは、この誤りはそもそも入り込むべきではなかったことです。借方300、貸方30の仕訳は貸借が合わず、複式簿記のシステムならその場ではじいていたはずです。

試算表では見えない誤り

翌月から、大輔さんは貸借の合わない仕訳をはじくシステムで帳簿をつけ、試算表はいつも一致するようになりました。それでも完璧とは限りません。合計を変えない誤りには、次の確認が役立ちます。

  • 毎月、銀行残高を照合する:記帳漏れや二重記帳は、たいてい通帳や明細との差として現れます。
  • 通常残高を確かめる:貸方残高の現金や、貸方残高の費用はありえず、記入した側か科目の誤りを示しています。
  • 各科目を前年同月と比べ、大きな変化があればその理由を確かめる。
  • 棚卸をして、帳簿の在庫と比べる。

こうして大輔さんは二つ目の誤りを見つけました。店の家賃1,000が、水道光熱費の科目に入っていたのです。試算表は一致していましたが、その月の電気代はまるで工場のようでした。

何も消さずに仕訳を訂正する方法

記録した仕訳は、削除も上書きもしません。借方と貸方を入れ替えた同じ仕訳、つまり取消仕訳で打ち消し、そのうえで正しい仕訳を記録します。三つの仕訳はすべて仕訳帳に残り、何が起きたのか誰でもたどることができます。

仕訳借方貸方金額
元の誤った仕訳水道光熱費現金1,000
取消仕訳現金水道光熱費1,000
正しい仕訳地代家賃現金1,000

消してしまうほうが早かったでしょう。けれども消せる帳簿は、誰にも信頼されません。税理士にも、銀行にも、一年後のご自身にも。

Aconta Online の役割

Aconta Online は、借方と貸方が一致しない仕訳をすべてはじくので、270の差額はそもそも生まれません。記録した仕訳は決して書き換えず、取消仕訳で打ち消して両方を残し、それぞれの日付と入力した人も記録します。試算表は常に最新で、用語集では科目の種類ごとの通常残高を説明しているので、合わないところがひと目でわかります。最初の一社は無料で、カードの登録も不要です。

よくある質問

試算表の貸借が合わないのはなぜですか。

ほとんどの場合、借方と貸方が一致しない仕訳、総勘定元帳への片側だけの転記、合計の誤りのいずれかです。差額を2と9で割ると、探す範囲を絞れます。

差額が9で割り切れるのは何を意味しますか。

54を45と書くような数字の入れ違いか、300を30と書くような桁のずれの可能性が高いということです。どちらも差額が9の倍数になります。

誤った仕訳は削除してよいですか。

削除してはいけません。借方と貸方を入れ替えた取消仕訳を記録し、そのうえで正しい仕訳を記録して、経緯をすべて仕訳帳に残します。

試算表が一致すれば、帳簿は正しいのですか。

そうとは限りません。試算表は、記帳漏れ、二重記帳、誤った科目への記入を見つけられません。そのために銀行残高の照合、残高の確認、棚卸があります。