ガイド · 会計システムと各国の制度

スペインの会計:個人事業主に足りるものと、会社がつけるべき帳簿

スペインでは、個人事業主と有限会社とで帳簿のつけ方が異なります。このガイドでは、タパスバーを営む女性を追いながら、個人事業主の記録簿から一般会計計画、帳簿の認証、年次決算書の提出、そして Verifactu までを説明します。

木の板に並ぶ素焼きの器のタパス。コロッケ、ミートボール、生ハムやサラミ、チーズ、オリーブ
写真:Bas Linders、Pexels

バレンシアのタパスバー

ルシア・ナバロさんは、個人事業主(アウトノマ)としてバレンシアにタパスバーを開きました。6メートルのカウンター、小さな厨房、そして近所ですでに評判のトルティージャ。初日から、相談相手のアドバイザーに二つのことを頼まれました。請求書をすべて保管すること、そして入ったお金と出たお金をすべて書き留めること。それで十分でした。

三年後、弟のパブロさんが事業に加わりたいと言い、銀行は有限会社を設立すればテラス席の資金を融資すると提案しました。アドバイザーはひと言でまとめます。「会社になったら、書き留めるだけでは足りません。きちんとした会計が必要です」。このガイドは、その言葉の意味を説明します。

個人事業主:記録簿

簡易直接見積制度(小規模事業の大半が使う方式)を選ぶ個人事業主は、商法に基づく会計を行う義務はありません。所得税規則が求める記録簿で足ります。

  • 売上・収入の記録簿。
  • 仕入・経費の記録簿。
  • 投資財の記録簿。

付加価値税の対象となる事業なら、発行した請求書と受け取った請求書の記録簿が加わります。簡易制度は、前年の純売上高が60万ユーロを超えない限り適用されます。通常の直接見積制度では、商業活動を行う個人事業主は商法に基づく会計を行います。

会社:商法と一般会計計画

ルシアさんとパブロさんが有限会社(SL)を設立すると、スペイン商法第25条により、事業に見合った秩序ある会計が求められ、仕訳帳と、棚卸・年次決算書帳の二つが必須の帳簿になります。会社はこのほか、議事録帳と社員名簿もつけます。

この会計のルールは一般会計計画(王令1514/2007)に、小規模な会社向けには中小企業向け一般会計計画(王令1515/2007)に定められています。勘定科目にはそれぞれ番号があり、570は現金、700は売上、400は仕入先です。期末には、貸借対照表、損益計算書、注記からなる年次決算書と、規模に応じた書類を作成します。

12月31日決算の有限会社のスケジュール

内容期限最終日
年次決算書を作成する期末から3か月3月31日
商業登記所で帳簿をオンラインで認証する期末から4か月4月30日
社員総会で決算書を承認する期末から6か月6月30日
商業登記所に決算書を提出する承認から1か月6月30日承認なら7月30日

帳簿と証憑は、最後の記帳から六年間保存します(商法第30条)。

バーの一夜を仕訳で

スペインでは、飲食業には付加価値税の軽減税率10%が適用されます。一晩の売上1,100ユーロには売上税額100ユーロが含まれ、掛けで仕入れた食材550ユーロには仕入税額50ユーロが含まれます。

取引借方貸方金額
一晩の売上570 現金1,100
700 売上1,000
477 付加価値税(売上分)100
食材600 仕入500
472 付加価値税(仕入分)50
400 仕入先550

四半期ごとの付加価値税申告(モデル303)では、売上分と仕入分の差額、この例では50ユーロを税務当局に納めます。

Verifactu:誰も手を加えられない請求書

請求書発行システムに関する規則(王令1007/2023)、通称 Verifactu は、請求書を発行するソフトウェアに、すべての請求書を連鎖させ、改ざんできない形で記録することを求めています。王令法15/2025が定めた日程では、会社は2027年1月1日から、個人事業主を含むそれ以外の義務者は2027年7月1日から対応が必要です。バスク州とナバラ州には独自の制度があります。

根底にある考え方は昔からのものです。記録したものは消さず、新しい記録で訂正する。良い帳簿が昔から守ってきたルールそのものです。

ルシアさんがしたこと

アドバイザーは、現金、厨房設備、テラス席の借入金という開始残高から有限会社の帳簿を開きました。それ以来、ルシアさんは毎週、売上と請求書を記帳し、アドバイザーは四半期ごとに確認して税金を申告し、年次決算書を作成します。最初の決算で、試算表は一度で合いました。大企業から来たパブロさんが、帳簿は誰がつけているのかと尋ねると、ルシアさんは帳簿を見せました。

Aconta Online の役割

Aconta Online は、会社ごとの仕訳帳、総勘定元帳、試算表、決算書を、ユーロ建て・複式簿記で管理します。勘定科目表には、会社が使う一般会計計画の科目を追加できます。Aconta の貸借対照表はスペインの balance de situación に、損益計算書は cuenta de pérdidas y ganancias にあたります。貸借が一致しない仕訳ははじき、記録した仕訳は決して書き換えません。誤りは取消仕訳で訂正します。請求書発行ソフトではなく、帳簿の認証や税金の申告も行いません。それはアドバイザーの役割です。最初の一社は無料で、カードの登録も不要です。

よくある質問

スペインの個人事業主に会計の義務はありますか。

簡易直接見積制度では商法に基づく会計は不要ですが、売上・収入、仕入・経費、投資財の記録簿をつけ、付加価値税の対象なら請求書の記録簿もつけます。

スペインの有限会社がつけるべき帳簿は。

商法第25条による仕訳帳と棚卸・年次決算書帳、さらに議事録帳と社員名簿です。

スペインでは帳簿の認証はいつ行いますか。

事業年度の終了から四か月以内に、商業登記所へオンラインで行います。12月31日に年度が終わる場合は4月30日までです。

Verifactu はいつから義務になりますか。

王令法15/2025の日程では、会社は2027年1月1日から、個人事業主を含むそれ以外の義務者は2027年7月1日からです。バスク州とナバラ州には独自の制度があります。